2006年10月5日、午後3時に韓国・朝鮮人元BC戦犯者「同進会」の李鶴来会長は、新たに総理に就任し、9日に日韓首脳会談を控えている安倍晋三首相宛てに、以下のとおりの要請書を、外務省梅田邦夫参事官に提出しました。
 「同進会」が日本の総理大臣に要請書を提出するのは1955年4月鳩山一郎首相以来14回目で、中曽根首相を除く、歴代首相に提出しています。(小泉前首相には2001年5月に提出)


韓国・朝鮮人元BC級戦犯者問題の早期解決を求める要請書


内閣総理大臣 安倍 晋三 様            
 
 私たち「同進会」は、戦後連合国による軍事裁判で「BC級戦犯」として有罪判決を受け、1951(昭和26)年8月までにシンガポールやジャワなどの現地刑務所から日本の巣鴨プリズンに移送され、1957(昭和32)年に釈放された韓国・朝鮮人とその遺族らで組織する会で、結成52年になります。
私どもは、戦時中は日本軍に徴用され、戦後も「日本人」として裁かれ、祖国が独立した後もなお「日本人戦犯」として148名の朝鮮人青年が刑を受け、内23名が日本の戦争犯罪のために刑死を強いられました。幸いにして生還した者は、巣鴨プリズンから釈放されると同時に「外国人」として放り出され、一切の補償・援護の対象外とされてきました。本人だけでなく、家族・親族も日韓両国で過酷な戦後を送り、前途を悲観し、自殺した者まで出ています。
私たちは、日本政府に対して戦犯に問われた経緯・ポツダム宣言10項・サンフランシスコ平和条約11条などとの因果関係を説明し、謝罪と補償を求めて働きかけを続けてきました。裁判所にも訴え、8年間の歳月をへて、東京地裁・高裁・最高裁から立法を促す付言判決を得ております。   
判決を踏まえて、補償立法を求め、歴代政権と各党国会議員の皆様に要請を重ねてきました。
 ここに、新たに発足した安倍総理の政権に最新の資料を添えて、改めてこの問題についてのご理解と早期解決を要請する次第です。
私自身が「巣鴨プリズン」を出てから明日でちょうど50年になります。今年韓国政府の真相究明委員会は、私たちのケースを精査し、「強制動員被害者」と認定し、名誉回復を半分実現してくれました。しかし、私たちの名誉を完全に回復し、強いられた不条理を是正するには、日本政府の措置が不可欠です。
鳩山内閣以来歴代政権に私たちは訴えを重ねてきましたが、平均年齢が85歳に達した現在もなお私どもがこうした要請を続けなければならない実状に、深い悲しみと憤りを禁じ得ません。
資料をご覧の上、一刻も早い措置を講じていただけますよう切に要請する次第です。

                  2006(平成17)年10月5日

  韓国・朝鮮人元BC級戦犯者・「同進会」 会長 李 鶴 来
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