出版
●新刊紹介
李鶴来『韓国人元BC級戦犯の訴え 何のために、誰のために』 ¥ 1,836
発行 梨の木舎 254頁 並製 定価1,700円+税
戦犯って何だ? 22歳の若者は、シンガポールの独房で、死刑執行の恐怖と8か月向き合ったー 「日本人」として裁かれ、「外国人」として擁護体制から切り捨てられた不条理を問う! 91歳の著者は、今も日本政府に謝罪と補償を求め続ける。
【本文より】 私の頭のなかに常にあるのは、死んだ仲間、その中でも刑死者たちです。彼らは、死刑囚だった私と同じく、誰のために、何のために死ぬのか、苦悶の時を過ごしたはずです。・・・ 故郷を離れ、日本軍の捕虜政策の末端を担わされ、日本の戦犯として責任を負わされて死んでいった仲間たちの無念を多少なりとも晴らすことは、生き残った私の責務なのです。 日本政府は立法を促す司法の見解を真摯に受け止め、立法措置を早急に講じるべきです。・・・ これは朝鮮人BC級戦犯者の私から、日本のみなさんへの問いかけです。
目次 1 「死の鉄路」の捕虜監視員 2 捕虜監視員になるまで 3 敗戦、逆転する立場 4 死刑判決と“俎上生活”の八ヵ月 5 スガモ・プリズンというところ 6 タクシー会社設立と遺骨送還運動 7 条理を求め裁判を闘う 8 日本政府の対応を求め立法運動へ あとがき
「何のために、誰のために」と問い続ける李鶴来さん 内海愛子
・新聞投稿より
・特定連合国裁判被拘禁者等に対する特別給付金の支給に関する法律案
・李鶴来・関連年譜
・主な参考文献
・本書を読むためのキーワード
ISBN978-4-8166-1603-7 C0021 初版発行年月 2016年4月
こちらからご購入いただけます。
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『キムはなぜ裁かれたのか―朝鮮人BC級戦犯の軌跡』
内海愛子著
朝日選書(朝日新聞出版)10月10日発売 1575円
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BC級戦犯裁判で、朝鮮人148人が戦犯となり、23人が死刑になった――。
「キム」は、その148人を象徴する名前だ。なぜ、何を、彼は裁かれたのか。
被害と加害が錯綜する歴史の真相とは
●内容紹介
連合国によるBC級戦犯裁判では朝鮮人148人が有罪となり、23人が死刑になった。なぜ朝鮮人が戦犯になったのか。
戦時中、日本軍は捕虜の扱いを決めたジュネーブ条約を無視、連合軍捕虜の4人に1人が死んだ。その捕虜の監視を朝鮮人軍属に当たらせたのである。裁判では、上官の命令に従うしかなかったとしても、個人の責任が厳しく追及されたのだ。
戦後、「日本人」としてスガモプリズンにつながれ、釈放後は「外国人」として補償や援護の対象からもはずされ、「対日協力者」として祖国にも帰れなかった朝鮮人戦犯は、日本政府に半世紀にわたって謝罪と補償を求めてきた。彼らを30年間追ってきた筆者が、膨大な裁判記録と本人証言を初めてつきあわせ、現場を歩き、被害と加害が錯綜する歴史の真相を明らかにする。彼らはなぜ、何を、裁かれたのか。植民地支配、捕虜政策、戦争裁判、戦後責任を検証し、彼らの人生をたどりながら、「戦争」と「戦後」を問う。
《筆者あとがきから》
あらためて朝鮮人BC級戦犯はなぜ裁かれたのかを資料と証言で考えた。「キム」だけではない、BC級戦犯の問われた「戦争犯罪」は組織の中で生きる私たちにも無縁でない。裁判記録を読みながら、「もし自分だったら」と考えこむ。
戦争犯罪に向き合ってきた戦犯たちの戦後史は、戦後の平和や民主主義が置き去りにしてきた戦争への視点である。そこにはアジア侵略に荷担した自己の苦渋に満ちた悔恨があり、存在をかけた反戦への熱い想いがあった。
戦犯たちがなぜ裁かれたのか、何を裁かれたのか、その問いはまた、何が裁かれなかったのかという問いになって返ってくる。
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内海愛子さんの著書『朝鮮人BC級戦犯の記録』(勁草書房)が、韓国で翻訳・出版されました。多くのメディアが、新刊書籍として紹介してくれています。
Voice of People2007年8月15日付記事
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高橋哲哉さんが「BC級戦犯と『法』の暴力」(高橋哲哉・北川東子・中島隆博編『法と暴力の記憶―東アジアの歴史経験』東京大学出版会3990円)で韓国・朝鮮人BC級戦犯問題を論じています。
また、高橋哲哉さんは近著『状況への発言』(青土社1995円)でも「高野山のチョウ・ムンサン」という文章を掲載(初出は雑誌『前夜』第6号2006年冬)。
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